久しぶりに、吉野に帰りました。
車を走らせながら見た 吉野の川沿いは、
緑に覆われた杉木立の合い間を縫うように
赤や黄色に色づいた木々たちが
少し寂しそうに見えました。
この時期に吉野に帰るのは、ほんとうに久しぶりでした。
緑の合い間を見え隠れしながら色づく木々たちには、
派手やかさこそないのですが・・・
どこか楚々としていて、
恥ずかしそうに赤らめているようで・・・
そして、
緑の合い間だからこそ、
その赤色が一層映えて印象的で・・・
清純な色気があるように思ったものでした。
それは・・・
山のもつ
凛としたたたずまいがもたらすものかもしれません。
でもなぜでしょうか?
今日は、どこかぼんやりとしていて・・・
寂しそうに見えました。
母が、色づいた山を見ながら言いました。
「今年の色は赤くないね。」
そのせいなのででしょうか?
ぼんやりと曇った今にも泣き出しそうなお天気のせいだったのでしょうか?
ふと、山の上を見ると、
もう白い帽子をかぶって泣き出していました。
それとも、
晩秋という 季節がもたらす風情のせいでしょうか?
母がまた言いました。
「今はいいけど・・・
あと一ヶ月もしたらいやだわ。
山が寂びしくって!」
吉野のやまは・・・
もうすでに冬支度に入っているようです。