山村流では、
『山村舞』という曲があり、
名取になるための課題曲になっています。
山村流の舞の基礎と、
舞の規範となるべく舞に対する心得や流儀の魂が籠められています。
ですから、
ある程度舞うことができるようになると、基礎をしっかりとマスターする意味において、
山村舞をお稽古します。
いま、
幼いころよりお稽古に通ってくれている高校1年生のお弟子さんに
この山村舞のお稽古をつけています。
わたくしも、
亡き師匠(糸師)より、山村舞のお稽古をつけてもらったのが同じような年頃だったからでしょうか?
今日、
その若い弟子に稽古をつけながら、
師匠にお稽古をつけていただいていた場面がありありと思い出されました。
丁寧にお稽古をしていただいた光景や
心のこもった師匠の言葉、師匠の佇まい・・・、においが、立ち現われ、
懐かしく、 そして、
ただただ、
有り難く、嬉しく思われました。
師として弟子に教えながら、自分もまた、弟子として師から教えられる・・・。
ふと、
現実と、過去が交錯いたしました。
かつて、
山村舞を教えていただいた師からの言葉の一言一句を丁寧になぞりながら、
お稽古をさせていただきました。
幼いころより教えていて、
素直に成長をしてくれたことを、
山村舞を通して実感しすることは、師匠としてとても至福のひとときです。
ひたすら 師の云われたとおりに舞う、
欲気のない、素直な山村の舞を見て、
師匠が舞い降りてきてくれたのかもしれません。