佐保姫の霞の衣ぬきをうすみ花の錦をたちやかさねむ
後鳥羽院(後鳥羽院御集)
卯月・・・、
始まりの季節を迎えました。
今年の春・桜の開花は遅く、
まだ、
奈良の桜は顔を出してくれていません。
奈良の山々に、春を呼ぶ佐保姫の美しい姿を見せてくれることを待ち焦がれます。
白く柔らかな春霞の衣をまとった・・・佐保姫が住むといわれる佐保山は、
なら・平城京の東・卯の方向に連なり、
まさに、
佐保姫は、卯の方・・・から 幸せを運んでくれる春の女神そのものと云えましょう。
四月という、言葉の響きには、
明るく華やかで、
何よりも希望に満ちたものがあります。
桜の開花の時期は、一瞬ではかないものですが、
その美しく咲き誇り、
上品で清楚でありながら 潔く舞い散る・・・その様相は、
舞を職とする私にとって
佐保姫とともに憧れであり、理想の姿でもあります。
今月・・・ 四月は、
大和神社の奉納、
住まいのミュージアム座敷舞の会・・・と、
春の催し物が続きます。
桜の華のように、
人々に待ち焦がれられ、幸せや喜びを運べるような、
舞手になりたいと願っています。