第13回 座敷舞『舞華会』於:東大寺本坊
『地歌舞 虫の音』
亡き師匠の追慕の想い、また身近な同世代の門人をつい最近亡くし、そして あまねく方々への追善を籠めて舞わせて戴きました。
正直、地歌の長い大曲にて、お稽古をしていても気持ちがなかなか定まらず、不安なまま当日を迎えました。
すっかり日の暮れた本坊の縁側で心静かに出番を待って、同じく出番を待ち用意された闇に揺らめく燭台の灯りを見ていると、虫の音が聞こえ始め、切なげな鹿の声が何度も何度も春日の山、飛火野の向こうから聞こえ始めました。もう何も考えることもなく、本坊座敷へと足を歩み始めていました。
舞ううちに情景が鮮明に、心も赴くまま自然な心持ちで舞わせていただきました。
大仏さまのご加護をいただき、無事に舞台を勤めることができましたこと深く感謝申し上げます。
若女拜
地歌舞 虫の音 山村若女