先日、友人と城崎へ行ってまいりました。
蟹の時期はもうすでに過ぎてしまっていたので、
目的は温泉
あいにくの雨
観光を目的としていなかったので、
早や桜の時期も過ぎてしまった季節はずれの温泉地は、
何となく心寂しくひっそりとしていて、情緒がありました。
雨に散った桜の花びらが、
温泉地の中心を走る川面を流れ、花いかだそのものでした。
寂しかったのは、
季節はずれや雨だけのせいではありませんでした。
私は、始めて知ったのですが・・・、
城崎には、『麦わら細工』という伝統工芸があります。
全国で城崎にしかない伝統工芸品だそうで、鮮やかな色彩と微妙な光沢、手づくりの素朴さが魅力です。
元々は、江戸時代に因州(鳥取県)から湯治に来ていた、わら細工職人「半七」が作り始めたとされ、300年近くもの歴史があります。
編み込む編組物、桐箱などに貼り付ける模様物、 幾何学模様に張っていく小筋物などの種類があり、1年以上寝かせた麦わらを赤・青・黄・緑などに染め上げ、丁寧に仕上げられます。
一見、とても藁とは思えないような細かい手仕事のまさに伝統の技です。
友人が、お土産に欲しいということであちらこちらと探し廻ったのですが、
あいにく間が悪くお休みのお店も多く、
おみやげの麦わら細工を購入することができませんでした。
何軒か廻ったお店の方の言うことには、
大変細かく根気の要る仕事なので値段が高くなり、なかなか売れないので、
そんなに作っていないということです。
だから、店頭に商品として置いてなく、
あったとしても
「すみません、それ商品じゃないんです。展示品なのでお売りできません!」
というわけです。
やっと探し当てた職人さんの家でも、作品らしき商品はなく、
あったのは500円のブローチだけでした。
なんとも、寂しい限りです。
ちょっと、骨休みに!と、会の合い間を縫って出てきた旅のつもりでしたが、
問題を突きつけられたような気分でした。
かたちはちがっても、
『伝統』という意味では、同じものを背負っている我々に取りましては、
考えさせられる旅となりました。
先人達が残してくれた伝統を守り、
受け継ぎ、
さらに発展しながら、活きて次代に残していくということは・・・、
そう容易いことではありません。