鐘ヶ岬考 -その2-

『鐘ヶ岬』は、

有名な歌舞伎舞踊「京鹿子娘道成寺」の踊り地の部分を地歌に直した舞です。

その原型は、
能の『道成寺』という作品で、和歌山地方の『安珍清姫説話』を基に作られました。

若い熊野修験者に恋をした娘が愛欲の炎を燃やして後を追い、
修験者は道成寺の鐘の中にその身を隠します。
娘は大蛇と化してその鐘に巻き付き、
鐘もろとも修験者も溶かしてしまう物語です。

その後日談として、広く道成寺物の作品は作られました。

能がかりの荘重な出、そして初々しい娘の色香を舞い、廓づくしで舞振りの面白さを見せ、最後に再び鐘に執念を移して舞い納めます。

起承転結が、はっきりとした作品に仕上がっており、

地歌舞にしては、珍しくしっかりした舞ぶりもあり、

道成寺もの独特の重厚さ と 華やかさを備えた作品です。

また、

地歌舞としては物語性よりも女(娘)の業や性を描くことに主眼がおかれています。

能の表現、さらに、歌舞伎の表現を踏襲しつつ、

地歌舞独特の表現として煮詰められているあたりを、

鑑賞していただくと面白いかと思います。

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