4月24日、日曜日、ならまち格子の家にて、
山村流上方舞鑑賞会が催されます。
久しぶりに、
『地歌 縁の綱』 を 舞わせて戴きます。
「春はいつ 笠に降らるる雪よりも つれなき人の冷たさを・・・ 」と、始まるこの曲は、
自分の定まらぬ恋の行方を海を彷徨う船に喩えながら、
最後に縁結びの出雲の神様に恋の成就を願って終わる
微妙な女心を詠った作品です。
地唄の代表曲として有名な 『ゆき』 と同じように、傘を持って舞うのですが・・・、
最初の出の部分の振りが、大変似ています。
また、類似点はそれだけではなく、
作曲も、『ゆき』と同じ、
天才作曲家・峰崎勾当で、
地歌のジャンルとしても、両曲とも「艶物(つやもの)」と言われるものです。
「艶物」とは地唄の中でも、男女の恋愛を詠ったものです。
特に、捨てられた女心の哀れさや 廓の女性の切ない恋心や情念を描いたものが多くありますが、
地歌の特徴といたしましては、決してその表現が直接的ではなく、
日本古来の枕詞、縁語、掛け言葉などにより、上品に包み込みながら女心を艶やかに詠われています。
傘を手に立ったときに、
「ゆきのときと 傘を持つ手の気持ちが違うんやで・・・。」
と、先代に言われたことを思い出します。
それだけに、
いろんな意味での難しさもあります。
まずは、美しい言葉で綴られた・・・、『縁の綱』の歌詞をご紹介いたします。
― 縁の綱(えんのつな) ―
春はいつ 笠に降らるる雪よりも
つれなき人の冷たさを
六つの歌仙も詠みわびて やたけ心に恋すてふ
かざすや金の簪の さす手ひく舟磯へも寄せず
沖にゆらゆら由良の戸の
おつと取舵 合点ぢや えいか
ああ ようそろ のんこ
帆を捲き立ての舟歌は 丸に三つ引恋風や
君に扇の替紋は 色の司を求めん手管
仲を隔つるませの菊 咲きしも憎や夕照に
顔は紅葉の恋の鬼
丹波大江の山よりも 勝る思ひや八雲立つ
出雲八重垣 妻籠は どこへ結ばん縁の綱
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