珠取海女考 -その2-

今月16日に
ならまち格子の家にて
久しぶりに珠取海女を舞わせていただきます。
能の海士より地歌に移された作品ですが、
ずいぶんその原曲は古いようです。

― 地歌 珠取海女 概要 ―


この曲は、能の「
海士」から歌詞を借りて地歌に移した本行ものと言われる作品ですが、
そのもとは、「讃州志度寺縁起」より取材されています。
藤原淡海公(不比等)が、
唐土から贈られた宝珠を持ち帰る途中、
志度の浦の沖で宝珠を竜神に盗まれてしまいます。
淡海公は、この浦の海女(あま)と契り、その子を世継ぎにする約束をもとに、
海女は海中深く分け入って悪戦苦闘の末、宝珠を奪い返し、
追いかけてくる守護神から宝珠を守るため自分の乳の下をかき切って隠し、
海上に浮かび出て無事宝珠を手渡しますが、
その時に海女は息絶えるという悲話が筋となっています。
地歌では、
約束通り藤原三代の房前(ふさざき)となった息子が母の供養に志度の浦を訪ねると彼の前に母の亡霊が現れ、
宝珠を奪い返した時の物語をするという設定になっています。
前半が
我が子にひかれて手籠を持って現れる母の亡霊の悲しさと喜び、
後半は、
宝珠を奪い返す語りでの母の情念の激しさが中心となります。
能の気韻をもちながら、
母性愛を強く打ち出した地歌舞独自の表現を鑑賞いただけたらと思います。

― 地歌 珠取海女 舞台写真 ―

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